できなくても飛び込め!!

「新しく設置される国際コースの立ち上げメンバーになってみないか」
これを聞いたとき、正直に「え? 自分が?」と感じた。わが校には英語教員は20人以上いる。その中で自分が選ばれたのだ。嬉しいが、ハードルが高いことはよくわかっていた。
国際コースでは英語に重きを置いた入試や、海外進学に挑戦するような、英語で人生を切り開いていきたい生徒が入学する予定になっている。そういう狙いもあるので、コースでの教育内容はネイティブ教員とのTT(チームティーチング)が基本であり、海外留学が必修科目になっているなど、英語教育に対する指導を徹底的に充実させている。また、わが校に初めて設置されるコースになるので0から1にする業務になる。自分の英語力の準備にさける時間はあまりないのかもしれない。
正直に言ってできる気がしない。。。。。
仕事では常にネイティブ教員と授業の打ち合わせをすることになるだろう。業務上のコミュニケーションの8割は英語を使うことになるかもしれない。留学引率では引率兼通訳教員になることも必須である。入学してくる生徒は、全国の平均的な高校生に比べて英語に対する意識と関心が高くなってくるだろう。そんな生徒たちから英語に関するハイレベルな疑問に授業の中で答えていかないといけない。海外進学のサポートにおいても、入試対策において高度な英語運用能力を試されるだろう。
無理だ。。。。。。。。。。。
まったくもって無理な気がする。私は中学生時代、be動詞と動詞の違いを理解しないまま卒業した。高校3年生の時に英検準2級に落ちた。大学の授業で英語教員になると発言したときに教授から「おおお、、、そうか、、、、夢を語るのは自由やでな!」と気を遣われた。優しさと嘘をつけない愚直さで作られたような人だったので、形だけの励ましは省かれた形で優しく助言された。教育実習では、「全く勉強が足りていない」と、自分のレベルが低いという現実を突きつけられた。そう。英語においてのいいエピソードが全くないのである。
それでは、その誘いをどうするか。
もちろん、引き受けた。
「できなくても、飛び込め!!」 私の英語力をここまで引き上げたのは、効率的な勉強方法でもなく、永遠に勉強し続けられる継続力でもない。
勝算がないのに飛び込んでしまう「意味不明な勇気」である
この性格のせいで、人より苦労してしまうな~と悲観的になっていた時もありましたが、この行動こそが、自分の英語力を引き上げてきた一番大きな要素であることに気付きました。
私はこれまで、そのステージに立てるのであれば、大嘘をついてでも、何かを引き受けていました。
「意味不明な勇気」①
塾でアルバイトをしていた時、塾長から「英会話教室を作りたいから、英会話を実践してくれ」と言われた。塾で話題性やいい評判を得ると、塾長は出世するらしい。それの一助になるためにお願いされたのである。その当時は、英語を高校生に教えている身分でありながら、自分自身は共通テストの半分も取れていなかった。しかし、引き受けて、その場しのぎイングリッシュでしのぎ切るうちに、言えなかった表現が少し言えるようになっていた。
「意味不明な勇気」②
少しだけ自信を持った私は、地元の外国人が寝泊まりするゲストハウスのアルバイトに申し込んだ。募集もしていなかったが、ホームページの予約用メールアドレスに「働かせてください」と送り付けたのである。面接で「英語はネイティブ並みにペラペラか」と聞かれた私は「ネイティブ並みにペラペラです。」と答えた。大嘘である。なぜか信用してもらうことができ、業務を任された。初めての勤務の日にフランス人とアメリカ人と3人でゲストハウスのコタツで話し込むことになった。二人が何を言っているのかが全く分からない。ちょっとだけ気まずい雰囲気が流れた。
「意味不明な勇気」③
教員試験には落ち続けていたが、講師として働くことはできていた。そのなかで、パイロットに転職したいという熱い心を持った教員の先輩に出会った。教員試験対策に付き合うから、パイロットに必要な英語力を授けてほしいとのことである。聞くところによると、英検準一級以上のレベルが求めれるらしい。私ですらそんな英語力はもっていない。しかし、引き受けた。なんなら「現在は、あえて英検は受けていませんが、一級レベルの実力はあるので、何でも聞いてください」と大芝居も打った。ついた嘘を本当にするために死ぬほど勉強をした。
「意味不明な勇気」④
晴れて教員に受かった自分は勤務先で留学生の生徒指導を任された。ただ通訳するのではなく、通常の生徒指導と同様に、生徒を落ち着かせ、諭し、どうするべきかを一緒に考え、更生させるのである。日本語でやるにしても、骨の折れる難易度の高い業務である。もはや嘘も芝居もせず「やります」とだけ答えて、渾身のボディランゲージと共にコミュニケーションを図った。
こんな働き方をしてきた中で、ふと気づいたことがある。
失敗しても、少しずつ自分の求めらるレベルが上がっていた。
ということである。
「意味不明な勇気」①から④のなかで、それぞれで最高の点数、相手を満足させるパフォーマンスはできていなかった。しかし、①から④にかけて、やるべきことの難易度は間違いなく上がっていた。「その時その時は上手くできなくて悲観していても、過去よりも高いステージには進んでいる」ということに気付いたのである。
本当に嘘偽りなく言うと、①~④のステージでの私のパフォーマンスは40点以下である。
なのに、成長していたのである。
人は自分では気付いていないが、確実に成長している。
こんな言葉をネットやテレビで聞くたび、「ほんまか~」と思っていたが、ほんまなのである。
その成長に必要なのは、嘘をついてでも次のステージに手を伸ばすことである。
もっと細分化して数えれば私の「意味不明な勇気」シリーズは⑫ぐらいまであったが、大きく分けると上記の4つである。
そんな意味不明な働き方をしてきた私ではあるが、また意味不明な挑戦を仕様としているのである。今回の最新の意味不明な勇気イベントである、「新しく設置される国際コースの立ち上げメンバーになり、ネイティブ教員と連携を取りながら、留学の通訳引率をこなし、生徒の海外進学や英語特化型進学を支援する業務」は間違いなく、過去最高の難易度である。
これに体当たりしてみるが、失敗するか成功するかは分からない。けれども、これを経験した後に進む「意味不明な勇気」ネクストステージは、またレベルの高い場所になっているんだろうと思っている。